沖縄の古式競馬
日本各地で開催されている競馬と言えば速さを競う競技ですが、沖縄には「琉球競馬(ンマハラシー)」という美しさを競う古式競馬が存在しています。今回はそんなンマハラシーについてご紹介させて頂きます!
琉球競馬(ンマハラシー)って?
通常の競馬とは違い、走る速さではなく「美しさ、優美さ」を競い合う競技のこと。
琉球競馬は琉球王朝氏族の楽しみとして約300~500年前に始まったとされており、沖縄県各地には150~200ヶ所ほどの馬場跡が確認されています。
沖縄方言では馬乗り競走を「ンマハラセー」、馬勝負を「ンマスーブ」、馬追を「ンマウーイ」、馬揃、馬寄を「ウマジュリー」と言うそうです。
審判は「ンマビットゥー」。他にも色々と独特な沖縄方言があるので気になった方はWikiをチェックしてみてください。
美技を競う
沖縄本島のみならず宮古、八重山など離島でも行われていた琉球競馬は速さだけではなく脚の運びのリズム、馬の姿勢の美しさ、優雅さなど美技を競う競技。
宮古馬など小さい沖縄在来種の馬を使って、1対1の対戦方式で勝負が行われます。
美しく着飾った2頭が直線を常歩と速足の中間の速度で美しさを見せるものとされており、
鞍の上に水を入れた茶碗をおいても、一滴もこぼさないような走り方は芸術的というよりほかに言いようがない。
Wikiより引用
『琉球歴史物語』という文献には琉球競馬の美しさについてこんな風に語られているそうです。
全力疾走すると笑い者に
そんな、美しさを競う琉球競馬では4本の脚全てが地面を離れるような走り(駆足など)は失格。全力疾走すると「ヤマト走り」と笑い者にされたんだとか。
また、琉球競馬では美しさが重要となるため、華麗な装飾が施された馬具も採点に加味されます。
琉球競馬はフィギュアスケート
『消えた琉球競馬―幻の名馬「ヒコーキ」を追いかけて』の著者・梅崎晴光は現代の競馬をスピードスケートと表現し、その上で琉球競馬を、
「美技を競う2頭立てのフィギュアスケート」
「速さや力強さではなく、走りの美しさを競う点で、世界に類を見ない」
Wikiより引用
と表現。また、速さではなく美を競うという形になったのは「沖縄の土地が狭く、勾配がきついという事情からではないか」「琉球では戦の必要が無かったため、強い馬に改良する必要がなく、馬は小さいまま速さを競うより美しさを競う競技になったのでは」となどの憶測・解説がされています。
フィギュアスケートって例えはめっちゃわかりやすい!もしかしたらあのPVのフィギュアスケートはこれが元ネタ………いやさすがにそれはない。
消滅の危機から復活
大正時代から太平洋戦争の沖縄戦直前までは沖縄本島各地で行われ、周辺の島々からも見物客がやってきたほど大盛況だった琉球競馬ですが、1943年を最後に太平洋戦争で伝統が途絶えてしまいます。
歴史資料などで語り継がれるだけの「昔の伝統文化」になってしまっていた琉球競馬が復活したのは21世紀、琉球競馬を知る地元民らが声を上げたことがきっかけ。
動物園「沖縄こどもの国」(沖縄市)が2010年から聞き取り調査を行い、沖縄市が経費の一部を補助したり、出走馬が確保できたりと、様々なことが重なって2013年に70年ぶりの復活を果たしたのです。
今年も開催されていたみたいです!
名馬ヒコーキ
昭和3年頃、琉球競馬で活躍されたとされている白馬が「ヒコーキ」です。昭和初期に琉球競馬の頂点に立ち、歴史に名を遺した名馬と言われており、『消えた琉球競馬―幻の名馬「ヒコーキ」を追いかけて』という本にもなっています。
トレーナーさん情報提供ありがとう御座いました!普通の競馬とは全然違った魅力のある琉球競馬。しりとりの常識をぶち壊す「ンマハラシー」って名前は一度聞いたら忘れられないインパクトがありますよね~
ウマ娘ならぬ「ンマ娘」…これはこれで可愛い。
実際の競技の様子の動画もめちゃくちゃカワイイのでぜひ見てみてください!
コレはンドゥール