競馬コラム並に読み応えがすごい小咄ニキのお話まとめ

競馬のあれこれ

雑談掲示板の「全て読む」機能をがっつり活用してくださっている小咄ニキの小咄がついに読み物すごいボリュームに達したのでまとめてご紹介させていただきます!(全て拾えてないかもしれませんがそこはスミマセン…)


競馬がもっと好きになっちゃう小咄ニキによるお話まとめ

【ウマ娘&競馬関連】雑談掲示板パート2
雑談掲示板パート2だよ! パート1が10000コメ到達という事でそろそろページ自体が重たくなっていきそうなのでパート2開設です。 ま...

名無しのトレーナー 2018/10/28(日) 15:05:58
ムムタズマハルの名前を見かけたので血統小咄

・ザルカヴァ 80年以上育まれた血から生まれた凱旋門賞馬
2008年に凱旋門賞を制したアイルランド産牝馬
他にも無敗でフランス牝馬三冠を制するなど、当時を代表する女傑の一頭であった

面白いのはその血統で、単純にはアメリカからやってきたミスプロ系のZamindarにニジンスキー系の母父Kahyasiとわかりやすい構成であるが、最大の特徴は母系にある
Zarkasha→Zarkana→Zarna→Zahra→Petite Etoile→Star of Iran→Mah Iran→Mah Mahal→ムムタズマハル
と遡り、ムムタズマハル牝系に属するのだが、実は、これら牝馬すべてムムタズマハルの馬主であったアーガー・ハーン3世ならびにその孫アーガー・ハーン4世の生産馬である
アーガー・ハーン親子が繋いできた血の結晶として生まれた女傑、これもまた競馬のロマンの1つと言ったところでしょうか

名無しのトレーナー 2018/10/28(日) 15:20:30
キャラクター化されたスマートファルコンもムムタズマハルの牝系だっけ

名無しのトレーナー 2018/10/28(日) 15:32:36
そうだよ
ケイシュウハーブ→キヨウエイシラユキ→アリアーン(輸入牝馬)→Nucciolina→Mah Behar→Mah Iran→Mah Mahal→ムムタズマハル
と遡る

余談だが、アーガー・ハーン3世は適切な価格を提示すれば気前よく馬を売却してくれる人だったのもあって、彼の生産馬である種牡馬は世界中に散らばる(その筆頭がナスルーラ)んだが、
日本でも、トキノミノルの父セフトとシンザンの父ヒンドスタンがいずれもアーガー・ハーン3世の生産馬だったりする
世界中の血統に大きな影響を与えた人物でもあるんやで

名無しのトレーナー 2018/11/07(水) 23:14:32
のんびり血統小咄

・リマンド 現在にも影響を及ぼし続けるステイヤーの血
イタリアの名馬産家フェデリコ・テシオの生産馬Donatelloから第17代ダービー伯最後の名馬でイギリス長距離三冠を制したAlycidonを経る父系は優れたスタミナを示したが、交配に苦労することが多く、父系の広がりが薄い流れである

この馬はAlycidonから幻のエプソムダービー馬Alcideというそんな父系の血を引いた馬であった
イギリス生まれで現役時代は10戦6勝も大タイトルには無縁に終わり、引退すぐに日本に輸入され1970年から種牡馬生活に入った
当初は全日本3歳優駿勝ち馬シタヤロープや全日本3歳優駿牝馬勝ち馬リマンドタイコウなど地方中心に実績馬を出したが、
1976年生まれのタマモアサヒが阪神3歳ステークスを制すると、翌年から中央の大レースでの活躍馬が相次ぎ、瞬く間に一流種牡馬の地位を築き上げた

代表的な産駒としてはオペックホースやテンモン、南関三冠馬サンオーイなどがあり、
他にもマックスビューティの牝馬三冠を阻んだタレンティドガール、ミスターシービーのライバルメジロモンスニーなど多くの脇役も輩出した

父系はサンオーイ産駒トミシノポルンガが孫世代種牡馬となったのみで断絶したが、母父として自身の血脈に由来する優れたスタミナを伝え、
その血は、アグネスレディからアグネスフローラを経てアグネスフライト、アグネスタキオンへ、
また、メジロオーロラを経てメジロデュレン、メジロマックイーンへ
そしてアグネスタキオンやメジロマックイーンからさらに下の世代へとつながり、今なお日本の血脈の中に息づいている

名無しのトレーナー 2018/11/12(月) 16:08:30
ちょっと余談の種牡馬小咄

・軽種馬協会だからできること
種牡馬ビジネスという言葉があるように、種牡馬の世界も経営判断が重要視される
つまり、産駒が高く売れず人気のない種牡馬はそうそうに淘汰され、新しい種牡馬に入れ替わる
現在ではそのサイクルの早さに議論はあるものの最早自然の摂理としてこれが繰り返されているのが馬産の世界である

そんな中の異端児が軽種馬協会
もっぱら海外血統の導入と中小馬産家への提供を軸に活動しているが、そんな中にこんな馬がいる

産駒は種牡馬10年以上でわずか79頭、近年は種付け頭数0という年も、でもまだまだ現役

これだけ見たら、個人所有の種牡馬じゃないのか?と思いたくもなるが、れっきとした軽種馬協会の供用馬
ビリーヴ、デュランダル、キーンランドスワン、カルストンライトオ、そんな短距離界の活躍馬が多い時代の中で、スプリント界を軽快な差し脚で駆け抜けた2004年高松宮記念勝ち馬サニングデールが今回取り上げる1頭

この馬が軽種馬協会の供用馬となった理由は至ってシンプル
父ウォーニングであること、それがすべてであろう
特にカルストンライトオがなくなった今、マッチェム系種牡馬は日本でこの1頭だけであり、それ故、軽種馬協会で血統の維持を目的として現在も供用されているのである
父系が繋がる見込みはないだろうが、それでもこの馬を種牡馬として供用し続けていることが嬉しいというファンは自分に限らずいるであろう

名無しのトレーナー 2018/11/12(月) 19:09:40
日高軽種馬農協が種牡馬事業やってた頃はテスコボーイ系を残すために大枚はたいてトウショウボーイを導入してたりしたものだけど、今ではそんな義理もない所ばかりだ。
そんな中で軽種馬協会は頑張ってるよ。

名無しのトレーナー 2018/11/12(月) 19:16:21
大事ですね

名無しのトレーナー 2018/11/29(木) 15:14:26
特に興味を引くニュースもなかったので、目線を変えて国内のマイナー種牡馬周りの小咄
お題はかつての名物馬主の遺産

・フサイチセブン
アメリカでそこそこ後継種牡馬を残したりしたフサイチペガサスの国内後継種牡馬
この馬はフサイチの冠号で知られる関口房朗がひっそりを競馬界から姿を消したころに差し押さえを喰らった馬として知られているが、
その後はクーリンガーの馬主としても知られる林進がオーナーとなり、引退後は彼の意向で種牡馬になった
人気があるわけではないが、もっぱらオーナー自身が牝馬をあてて年5~10頭ぐらいの種付けをしている
だが、あまり頭数がいない中でも初年度産駒は現状5頭が中央デビューし2頭が勝ち上がりに成功(初年度100頭近い牝馬集めて未だ中央勝ち1頭なトーセンジョーダンの明日はどっちだ?!)
血統的には面白みがあるわけではないが、ミスプロ系×ダンジグ系のアメリカ血統だけに国内の牝馬とはかけやすいため、何かしら一発が出ないものか

・ザサンデーフサイチ
こちらも関口房朗の元所有馬で5億円ホースとしてニュースを賑わした馬
フサイチセブンとともに差し押さえを喰らった馬で、同じく林進が引き取り、やっぱり引退後種牡馬になった
そして気づけばダンスインザダーク父系最後の砦になっているっていう
世の中何が起こるかわからないものである
こちらもオーナーが牝馬をあてて年5~10頭ぐらいの種付けをこなしている

いずれも産駒の多くはオーナーとつながりのあるライオンレースホースが預かっているそうである

名無しのトレーナー 2018/11/29(木) 20:56:34
フサローのおっちゃんは見た目すげぇ怪しげだけどやっぱこういうオーナーいた方が楽しいよねって感じの胡散臭さで今は寂しいね

名無しのトレーナー 2018/12/07(金) 17:18:43
ついでの父系小咄

・急転直下の危機
非ファラリス系のエクリプス系は大半が滅亡同然に近い状態に向かっているが、
そんな中で20世紀末からアメリカで存在感を示してきたのが、ヒムヤー系
Holy BullからMacho Uno、さらにMacho UnoからMucho Macho Manが出たことで大物が出る異流血統としてさらなる拡大が期待されていた

が、現在では状況が一変、Mucho Macho Manはデビュー前ではあるが産駒の評判がイマイチなようで種付け数が激減
種付け数の多い初期産駒が走らなければ父系存続自体が危うくなりかねない状況に晒されてしまっている

さて、アメリカ以外では存在感のかけらもないヒムヤー系であるが、日本に1頭だけ種牡馬がいる
16年のJBCスプリント勝ち馬ダノンレジェンドである
各地の交流重賞を走りまくり、ダート短距離実績が豊富なこの馬はイーストスタッド供用と肌馬の質を期待できるポジションではないが、安価(50万)なわりに(デビュー前であるが)産駒の評判もよいのか、種付け数を伸ばしている
今年の種付け数は119と大台に乗せたが、実はこれ、今年のヒムヤー系種牡馬における世界一位だったり

本場で危機にさらされる父系が遠く離れた日本で存在感を示す、なんてことがあるかないか、その答えは数年後

名無しのトレーナー 2018/12/07(金) 17:24:46
ダノンレジェンドに関しては偉大なダート短距離種牡馬・サウスヴィグラスの死亡がかなり追い風やね
安定だったサウスヴィグラス産駒の後を継ぐのはどの種牡馬なのか……

名無しのトレーナー 2018/12/07(金) 17:56:59
追い風も追い風だねぇ
というか、今年の産駒中央11頭勝ち上がりで、うち9頭1200以下とか何コレこわいだもんなぁ、サウスヴィグラス

で、その後継争いは結構混沌って感じだねぇ
最近のD1600未満の勝ち上がり実績的にはヘニーヒューズが抜けてるけど、こいつ350万とお高いし(だから、産駒で60万のアジアエクスプレスがすごい人気(205頭)に)
芝でも通用する産駒出てるダンカーク(120万)や、お高いけど同じくダートでも潰しがきくキンシャサ(250万)なんかももうちょい種付け料下がってくれば有力だし
早々に定まらないようなら、(もうちょい中央交流や中央ダート馬場で実績残す必要あるが)キタサンミカヅキが殴り込んでくる可能性もあるし、で

名無しのトレーナー 2018/12/07(金) 18:04:26
ヘニューヒューズ系はなかなかいい種付け数誇ってるよね

ヴィグラス後継はミカヅキとヒガシウィルウィンが大物かな?
ミカヅキは短距離一本って感じでまるまるヴィグラスって感じだけど、ヒガシウィルウィンはマイル~2000だからこれはこれで地方用として種付け数増えそう

名無しのトレーナー 2018/12/07(金) 18:17:46
ヘニーヒューズとアジアエクスプレスだけで397頭だからねぇ…さらに安価な種牡馬も10頭ぐらい種付けあるっていう、ちょっとしたバブル状態

ヒガシウィルウィンは短距離のスピードってよりは、スタミナに裏打ちされた安定した走りが強みだから、ゴールドアリュールとかの後継ポジに近そう

キタサンミカヅキは中央時代OP勝ちあり、南関の中央交流重賞2勝、JBCスプリントは3着止まりという状況考えると、
種牡馬として売り込むためにも今週のカペラSを勝てるかは結構重要だね

後は競走実績は14~1600だが、ベストウォーリアが来年から種牡馬入りだし、その父マジェスティックウォリアーも日本に輸入されてるし、でまだまだ覇権の行方は不透明やね

名無しのトレーナー 2018/12/14(金) 23:25:54
有馬記念は出走可能圏内の全馬が出走の意向でハッピーグリン\(^o^)/オワタだったり、スマートレイアーが有馬に回ってのでエイコーンが東京大賞典繰り上がりだよーぐらいしかニュースがないので、今日も小咄

・かつて存在したぐねぐねコースの競馬場
現在千葉県北部にある競馬場と言えば中山競馬場だが、中山競馬場が誕生する以前に千葉県北部にはある競馬場が存在した
それが今回のテーマ、松戸競馬場である

この競馬場、元をたどると、東京で行われた闇競馬を取り仕切った興行師の一部が地元有力者から土地と設備を借り受け闇競馬を行ったことに端を欲する
その後、東京競馬会の大成功を見た地元有力者は興行師を排し、自分達で競馬開催を行うようになる
この時、松戸競馬場は馬券販売を許される競馬場のルールに則るための大問題を抱えていた
それは普通にコースを作ると1周の長さが規則に満たないというものだった
そこで、関係者は競馬場敷地の外周に沿った普通の競馬場ではありえないような曲がりくねったコースとすることで、強引に解決した(気になる人はwikipediaで調べて見よう)
開催自体も開催者による不正が横行、苦情などを脅迫・暴力で封殺するというかなりとんでもないもので(松戸競馬に限らずこの時期に各地で生じた競馬開催ではこのような事例は多かった)
最終的に政府による馬券販売禁止の原因となったともされている

その後の補助金競馬時代(馬券販売が禁止されたかわりに各地の競馬には国から補助金が出るようになった)を通じて細々を競馬開催を続けていたが、
大正8年競馬場敷地を工兵学校用地として買いたいと陸軍から打診があり、手狭で無理のある松戸競馬場に限界を感じていた開催者はこれを快諾、松戸競馬場は廃止となった

松戸を手放した開催者達は中山村に競馬場を設立(旧中山競馬場)、その後紆余曲折(これも中々とんでもない話であるが)を経て現在の中山競馬場が誕生している

跡地は陸軍工兵学校となり、現在は松戸中央公園や聖徳大学のキャンパスなどになっている

名無しのトレーナー 2018/12/25(火) 20:23:35
新掲示板かー、というわけでご祝儀がわりの小咄

・地方生まれのアイドルホースを生んだ情熱と愛情
1995年JRAはG1とそのステップレースを地方競馬所属馬に開放、以前はオグリキャップのように中央に転入するほかなかった時代は終わりを告げ、メディアはこれを「交流元年」と銘打った
そしてその年の牝馬クラシック戦線をひた走りアイドルホースとして人気を集めたのが笠松競馬所属のライデンリーダーであった

ライデンリーダーの父は現役時代繰り上がりによってG3を1勝しただけのワカオライデン、母系はそこまで目ぼしいもののない、まあ言ってしまえば典型的な小牧場の生産馬であった
この馬を買ったのはライデンリーダーの管理調教師であった笠松の荒川調教師その人であった
荒川がこの馬を買った理由、それは「ワカオライデンの仔」その一言に尽きる

ワカオライデンは名門吉田牧場の生産馬で、テンポイントの甥にあたる結構な良血馬であった
荒川は幼駆時代のワカオライデンをいたく気に入り、ワカオライデンの馬主となった人物に購入をすすめた上で、脚部に不安を抱いたことから中央で走らせることを提案した
こうして中央競馬にデビューしたワカオライデンであったが、荒川の不安通り脚部不安に悩まされたのもあり、繰り上がりでG3朝日チャレンジカップに勝つにとどまった

最終的に地方転出が決まると、荒川は二つ返事でこれを引きうけ、脚部不安を解消するために厩舎ではなく自宅の裏にけい養して面倒を見るほどに情熱を注いだ
1年後、脚の具合がよくなったワカオライデンは一度金沢で白山大賞典を勝つなどの成績を上げてから笠松に戻り、以降東海地方の大レースで大活躍、荒川の期待にこたえた
この結果に荒川はワカオライデンをもう一度檜舞台にと考え、当時地方所属馬が唯一出走可能であったG1ジャパンカップを目指し、出走権を得るためにオールカマーに出走させようとしたが、直前に故障、無念の引退となった

特に優れた競走実績があったわけではないワカオライデンであったが、生産者の吉田牧場が種牡馬として引き取ると、想定外なことに多くの種付け依頼が舞い込み、初年度から30頭以上の牝馬が集まった
依頼をしてきたのは小規模な牧場を経営する生産者達であった
生産馬が地方競馬で走ることが多い彼らは、ワカオライデンが笠松・名古屋で見せた強さと、当時活躍馬を多数出していたロイヤルスキーの子でテンポイントの甥という血統背景に魅力を感じたのであった

こうしてワカオライデンの産駒が産まれ始めると、荒川は各牧場を巡り産駒を買い集め始めた
ワカオライデンの子供は絶対に走ると信じた故の行動であり、最終的に初年度産駒の半数近くを荒川が購入した
その熱の入れようは周囲が「荒川厩舎はワカオライデンの子供でひっくり返る(潰れる)」と呆れるほどであったという
そんな心配をよそに、荒川のもとでデビューしたワカオライデンの子達は笠松・名古屋競馬を席巻、そしてライデンリーダーによって彼の情熱は最高の形で結実した
荒川はその後もワカオライデンの仔に情熱を注ぎ続け、97年の全日本サラブレッドカップ(交流G3)で管理するワカオライデン産駒が1~3着を独占するなど大きな結果を残し、2000年に肺がんで逝去している

ワカオライデンも産駒の活躍により地方競馬向けの優れた種牡馬としての地位を確立、その後2度の地方リーディングに輝くなど大成功を収め、2005年まで種牡馬として活躍した後、2007年吉田牧場において老衰により亡くなった(翌年その功績の大きさからNARより特別表彰を受けている)

名無しのトレーナー 2018/12/25(火) 21:57:26
トばしたSSの合間に堅実なコラム、まさに酒と肴…
ていうかめっちゃ読み易かったよ

名無しのトレーナー 2018/12/26(水) 05:47:32
地方競馬で掴んだ夢ですね


名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 20:04:32
久方の小咄

・「デビューするのも一苦労」
新馬デビューまでに関係者がやることは多い
ゲートに慣れさせゲート試験を通し、走らせることを覚えさせ、そして仕上げていざレース…
となるわけだが、年が替わったこの時期は関係者はもう一つ苦労を抱えることになる

1/12中山6R 3歳新馬戦(芝1600m)
まあ、何てことはない新馬戦なわけだが、フルゲート16頭に対し、何と「除外44頭」

この裏には冬場の3歳戦の特徴が隠されている
いくら管理技術が進歩したとはいえ、冬場は芝の生育には不適な時期であり、芝馬場の維持に注意を払わないとすぐに馬場が荒れてしまう
その煽りをもろに受けるのが3歳の新馬・未勝利戦であり、2歳戦が芝の比率が高かった反動もあわせこの時期は芝競走は1日1レースを新馬と未勝利で分ける形となり、芝の新馬・未勝利戦は非常に少ない数となってしまっている
結果、数少ない芝の新馬戦に多くの馬が殺到してしまう光景が繰り広げられるのである

狙った鞍で除外の憂き目は制度上避けられないものではあるが、
仕上げた馬がレースに出れずじまいとなってしまうリスクと背中合わせの日々を送り、抽選結果に一喜一憂する関係者達の気苦労はいかほどであろうか

名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 20:07:21
年明けちゃうともう新馬除外地獄よね
ここらへんから未勝利でデビューする馬もちらほらと

名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 20:16:08
最近素質馬が早めにデビューして冬は休むパターンが結構多いのもこうなるのを避けてるってのもあるのかな

名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 20:31:32
近年の競馬は厩舎ごとの預託頭数多すぎて3歳新馬戦・未勝利戦、そして500万円以下のフルゲートがヤバいことになってる。

・3走連続9着以下の馬は二か月間出走停止⇒事実上落第扱いして早めに地方送りにする
・降級/スーパー未勝利戦廃止⇒500万円以下の整理

上二点は気休めとはいえ効果が出る事を祈るしかない
番組数増やせれば越したことにないけど無理だからね

名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 20:40:51
とりあえずJRAが思ってるのは能力の劣る馬やダート馬は2歳、クラシックシーズンは地方に行って欲しいということやろうね
特にダートの2歳馬が地方に行くことは地方へ若馬の資源を回す上でも非常に望ましいこと

最近はみんな中央デビューするから2歳の地方馬が少なすぎて厳しい現状

名無しのトレーナー 2019/01/11(金) 22:21:29
そうなれば良いけど、実際地方も馬房に空きがなくてカツカツの状態だからなぁ。
地方で出走手当目当ての高齢馬達が淘汰されていく流れになるかもね。

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 03:15:13
たまーの血統小咄

「結局あんたはどっちなん?」
今では消えてしまったが、かつて日本の競馬ではアングロアラブによる競走が行われ、馬産界でもサラブレッドとともにアングロアラブが生産されていた

さて、アングロアラブはアラブ種とサラブレッドの混血であり、ぱっと見ではサラブレッドとよく似ているが、競走能力ではサラブレッドに劣っていた
そのため、馬産界ではサラブレッドをアングロアラブと偽って登録することで賞金を稼ぐ機会を増やそうとする不正が存在していたという
これは「テンプラ」と呼ばれ(天ぷらは外見の衣と中身がまったく別物であることから、見た目と中身がまったく別であることの暗喩に使われることがある)、極めて高い競走能力を示したアングロアラブにはつきものの疑惑であった

その疑惑の代表とされるのが、スマノダイドウという馬である
スマノダイドウは父ミトタカラ(アングロアラブ)母トキノメジロ(サラ系)で、競走・種牡馬両方で一時代を築いた馬であったが、
両親が栗毛にも関わらず鹿毛であったこと、さらに母はサラブレッドのカブトシローと交配し不受胎後にミトタカラと交配したということから、
実はカブトシローの仔のサラ系ではないかという疑惑が生じたのであった
(ちなみに栗毛遺伝子はホモでしか発現しないため、両親が栗毛の場合突然変異でもなければ子供は必ず栗毛になるため、毛色に関する疑惑は現在の知識から見ると的確でテンプラであった可能性が高いと考えられる)

今では血統登録の際に遺伝子検査が行われ、書類に記載された両親と一致するかのチェックが行われてたりしているが、
当時はそんな技術はなく、さらに毛色遺伝などについても十分な知識があったとはいえない時代
結局スマノダイドウがテンプラかどうかは謎のまま終わり、現在ではそのような時代があったこと自体忘れ去られつつある

アングロアラブは日本から消えつつあるが、スマノダイドウの血は、孫でアラブ競馬末期に女王として君臨したイケノエメラルドの仔達が地方競馬で走ることで今も競馬界に残っている

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 03:35:46
タイトルの「結局あんたはどっちなん?」でトキノメジロに興味を持ってかれてしまった…
しかも「トキノ」+冠名の馬って他にもいるのね…

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 03:58:29
トキノメジロの父メジロオーはサラブレッドで名前の通り北野豊吉の所有馬
まだメジロ牧場が影も形もない時代のメジロ冠号の馬で、1961年東京優駿では伝説の髪の毛1本の差で2着に敗れたことで有名な馬
種牡馬としては宮崎でたった4年で病死したため、ほとんど産駒がなく、スマノダイドウだけがメジロオーの血を後世に伝えた

母母トキノハツエの父はサラブレッド京都記念の勝ち馬トキデンコーで、その父は小説家菊池寛の所有馬として有名なトキノチカラ
さらにその父は戦前の日本競馬に導入され、ダービー馬6頭を輩出したよく日本に売ってくれたなレベルの超良血種牡馬トウルヌソル

サラではあまり見かけない血が入っていて、いかにもアングロアラブらしい血統って感じですね

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 04:04:48
トウルヌソルの父系はとっくに断絶してしまったが、
牝系側ではクインナルビーが残した3頭の牝馬の子孫が今でも活力を示している

名前でピンとくる人もいるだろうが、オグリキャップの母ホワイトナルビーの4代母がこの馬であり、キョウエイマーチもこの牝系の出身

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 14:58:46
本で読んだがメジロオーほんとならダービー勝ってたんだけどね

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 09:11:29
スマノダイドウって園田事件の当事者馬だな
カンパイで競走不成立になったのがきっかけで焼き討ちが起きたやつ

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 11:40:06
スマノダイドウの父と疑われたカブトシローにも父親が違う疑惑が

名無しのトレーナー 2019/02/03(日) 09:27:07
昨年も南関で走ってた「サラ系」の重賞馬、ゴーディには
スマノダイドウも アラブの魔女ことイナリトウザイの血も流れてるのがロマンあった

逆にイナリトウザイは祖母が100%のアラブ種だからどうあがいてもアングロアラブ種のルール内に収まるお墨付きがあって、その上でサラブレッドをばたばたと打ち負かして、あろうことか1200mの日本最速記録を記録(ダートなのに芝よりも早い時計をだした)を出すとかいう強さ

繁殖牝馬としても名種牡馬を排出するなど好きのない魔女

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:16:18
さて、リクエストされたので血統小咄
といっても今回は長いのと、そして、この話をするとどうしても避けられない闇に触れないといけないため、これは木を分けて

「所変われば…」
第二次世界大戦の最中のイギリスに生まれ、欧米問わず活躍、特にアメリカ競馬の血統を塗り替えたとまで言われる名種牡馬、それがナスルーラである
ナスルーラはNathoo、Musidora、Never Say Die、Nashua、Bold Ruler、Never Bendなど多くの活躍馬を出し、このうちNever Say Die、Bold Ruler、Never Bendは種牡馬としても大成功を収め、一大父系を築いていった
一方、Grey Sovereign、Red Godなど競走馬としては栄光を得られずに終わった馬からも種牡馬として成功を収めるものが現れた
今回の話のまず第1歩となるPrincely Giftもその内の1頭であった
現役時代は今でいうG2クラスの短距離レースを複数勝った程度のそこそこの競走馬であったこの馬であったが、当時まだ少なかったナスルーラの後継種牡馬の1頭として引き取られた
幸運だったのは、この馬はナスルーラのスピード面をよく伝え、さらに仕上がりが早い早熟、まさにダビスタにおけるこの馬のインブリード効果そのものな産駒が多数出したことであった
欧州競馬において、2歳戦というのは早熟のスピード馬が荒稼ぎする舞台である
Princely Giftはこの路線に適した産駒を多く出し、2歳戦リーディングで上位を争う種牡馬として存在感を発揮し、多くの優れた産駒を残した

そんなPrincely Giftの産駒の1頭にこれまた栄光には届かずに終わった馬がいた
馬主が経営したスーパーマーケットチェーンの名前を冠したその馬の名前はテスコボーイといった
現役時代は今のG2クラスに勝ったものの、G1クラスでは3着が精一杯であった
そして、種牡馬となったものの、当時の欧米はナスルーラ系の全盛期
その競走成績故テスコボーイはそこまで目立った存在とは言い難かった

彼の転機は引退し種牡馬として1シーズンを過ごした後の1967年冬にやってきた
遠く東洋の島国から新しい種牡馬を求めてやってきた日本人に気に入られた彼は売却され、遠く日本への日高軽種馬農業協同組合(HBA)の門別種馬場に運び込まれた
今ではセリの主催者としてしか名前を見ないHBAであるが、かつては種牡馬供用を行っており、テスコボーイはその導入馬に選ばれたのであった
これは当時の日本では1960年代初頭に立て続けに輸入されたNever Say Die産駒のダイハードやシプリアニ、ネヴァービートが評判を集めており
HBAとしても日高の牧場向けにナスルーラ系種牡馬が欲しかったが、協同組合とはいえ、いかんせん先立つものに余裕があるわけでもなし、という中でちょうど彼らの要求に見合う馬がテスコボーイだったものと推察される

日本にやってきたテスコボーイはHBAの経営方針により安価で提供され、ナスルーラ系の人気もあり、日高の牧場の注目を集めた
そして初年度産駒のサラ系ランドプリンスが72年の皐月賞を制しいきなり八大競走勝ち馬を輩出
これで人気に一気に火が付き毎年70~80頭の種付けをこなす人気種牡馬となり、
74年二冠馬のキタノカチドキ、「後ろからは何にも来ない×3」の名実況75年牝馬二冠テスコガビー、天馬トウショウボーイ、TGを破った天皇賞ホクトボーイ、華麗なる一族出身当時の最高落札価格記録馬ハギノカムイオー、ジンクスを破った馬サクラユタカオー
などG1勝ち馬が多数、他にも多くの日高の牧場から多くの活躍馬を出し、4度のリーディングサイアーに輝いた
この原動力となったのは、当時の日本競馬に欠けていた優れたスピード能力であり、日高の古い牝系とあわさることで、スピード面はそのままに短距離のみならず中長距離までこなす産駒を出せたことであった
欧州では地味な存在であったテスコボーイであったが、日本に来ることで最先端のスピード血統種牡馬としてその特性をいかんなく発揮できた、それに尽きるだろう

上述のように種付け料は意図的に安価におさえられていたことから、安くつけれて高く売れるテスコボーイは日高の馬産家達にとって救世主となり「お助けボーイ」と呼ばれ愛され、
一説では1年のみの供用となった欧州でも少ない産駒から1000ギニー2着馬が出るなどしたため、買い戻しのオファーがあったもののHBAはこれを断ったとされている

その後、83年から受胎率が急落、85年には1頭も受胎しなかった受け引退、その2年後サクラユタカオーの天皇賞勝利を見届けたかのようにこの世を去った
日高の馬産家に愛されたテスコボーイは当地で今なお大きな存在であり、静内の桜舞馬公園では多くの馬達の碑が円形にならんだその中心にテスコボーイの銅像が鎮座している

その父系はトウショウボーイとサクラユタカオーを軸に日本に土着し、前者は途絶えたものの、サクラユタカオーの産駒で先祖返りしたかのようなスピード馬サクラバクシンオーの子達によって今も続いており、主要国に残っている唯一のPrincely Gift父系の系統に近い状況となっている

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:31:05
お助けボーイと聞くと、テスコボーイよりトウショウボーイの方が先に来るな…(検索でも同様)
ある意味襲名?

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:39:33
トウショウボーイがテスコボーイの産駒であったことと、
テスコボーイ同様にHBAで供用され、やはり意図的に種付け料を抑えた運用をされ、テスコボーイ同様「安く付けれて高く売れる」種牡馬となったこと
この2点でもって同じように呼ばれるようになった感じですね

ちなみにテスコボーイもですが、HBA供用種牡馬は種付けの条件として産駒をHBAのセリに出すという義務があって、
そこでテスコボーイ産駒やトウショウボーイ産駒は高額で取引され、多くの牧場を救った他、
HBA自身もこの取引の手数料によって大きな収入を得ただけでなく、これらの産駒を目当てに多くの関係者が集まるようになったことで、競走馬取引の一大主催者としての地位を固めることに成功しました

HBAは現在も競走馬セリの世界では大きな存在ですが、これもテスコボーイやトウショウボーイ、後はアングロアラブの名種牡馬エルシドのおかげといえましょう

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 03:33:36
白い稲妻もそうだけど、子が親の二つ名を襲名っていいね。
ロマンがある。

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:50:59
2015年に桜舞馬公園(オーマイホースパーク)を訪れた方のブログ記事があったんで。

えー、先月北海道に行ったときの話なのですが、色々と偶然も重なって、門別競馬場に2日続けて行けることになったのですが、門別競馬はナイターですから、2日目の午前中…

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 06:54:52
ショウリはスターオーの父ちゃん

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:57:36
お待ちしていました!
文章まとめて下さってありがとうございます!とても興味深くもっと読みたくなりました…!

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 02:03:16
リクエストした者です!
ありがとうございます!そしてそこまでの話を知らずに好きになっていた私が恥ずかしい…

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 01:40:27
Princely Gift、テスコボーイの話をするとこれを避けることはできないということで、もう1つの血統小咄

「日本に振り回された血統」
テスコボーイの大成功は日本の馬産界全体にPrincely Gift系への注目を引き起こした
そして、それはPrincely Gift系種牡馬を軒並み日本馬産界が買いあさっていくという光景へと発展した
直仔だけでもファバージ、シリコーン、マイハート、グッドウッド、フランキンセンス、ソーブレスド、バーバーなど、孫以降も含めれば数はさらに膨れあがる
結果、欧州には有力な後継種牡馬の子孫がさほど残らず、これがPrincely Gift系が早期に衰退してしまった原因としてあげられるほどである

これは同時期に活躍した種牡馬チャイナロックに対するロックフェラ産駒など、当時日本で流行した父系では毎度毎度繰り返された光景であり、
これらの種牡馬が日本ではさほど成功せずに終わることがほとんどで、一方、買われる側の欧州では父系を狭められる結果となり、日本馬産界が後に「種牡馬の墓場」と呼ばれるようになったのは、これら極端の特定血統に偏った買いあさりに根本があったともいえる

現在では国産種牡馬が圧倒的な支配力を持つ日本競馬界であるが、かつてはこのような多くの海外種牡馬の犠牲の上に成り立っていた時代もあったのである

名無しのトレーナー 2019/02/04(月) 02:23:36
ラムタラの時も日本は金で全て持っていったとか言われてたなぁ
ちょっと流行りに乗ると言っても限度があるだろうになぁ…
でもその結果が現代に繋がると言えば否定も出来ないか…

名無しのトレーナー 2019/02/08(金) 03:39:31
ニッチな小咄を書くなら深夜に限るってことで血統小咄

「60年前の黒船種牡馬」
現代日本競馬を象徴する種牡馬といえばサンデーサイレンス
その成績はすさまじくダービー6勝は特筆に値するものがある
だが、そのSSから60年近く前に日本に東京優駿6勝を挙げた種牡馬がいたことはあまり知られていない

トウルヌソル、1922年イギリス生まれのこの馬は父はイギリス三冠馬のGainsborough母Soliste
父GainsboroughはHyperionの父であり、トウルヌソルと同年生まれの産駒Solarioは後に英愛リーディングサイアーとなるなど、種牡馬の父として優秀な種牡馬であった
その血はディクタスやサンシーを経て日本競馬の牝系に今なお無視できない影響を与えている
母の近親も半妹ラソローニュはナッソーステークス勝ち馬、大叔母マテルはヴェルメイユ賞勝ち馬と優秀であり、
トウルヌソルは当時のイギリス競馬の中では中々の良血と言っていい馬であった

現役時代は24戦6勝でプリンセスオブウェールズステークス(現在ではG2レベル)に勝つなどそこそこ走ったものの故障で引退することとなった
これに目を付けたのが、馬質強化を目標に牝馬・種牡馬導入を進めていた宮内省に依頼でイギリスにやってきた獣医学博士丹下謙吉で、トウルヌソルは10万円(現在なら10億円程度の価値)で売却されると、日本へと運ばれ下総御料牧場で種牡馬として活動することとなった
これだけの値段をもって購入された種牡馬ということで、下総御料牧場では手持ちの有力牝馬にどんどん種付けを行った

そして生まれた産駒は初年度から次々と活躍、
初年度産駒ワカタカ(母種信(ミラ牝系(サラ系)))は1932年の第1回東京優駿を制し、その後も天皇賞前身の帝室御賞典、横浜特別など大レースに次々に勝ち、トウルヌソルの評判を高めると、
その後もトクマサ(36年・母種正(輸入牝馬))、ヒサトモ(牝・37年・母星友)、クモハタ(39年・母星旗)、イエリュウ(40年・母山妙(フラストレート牝系))、そして変則三冠馬クリフジ(牝・43年・母賢藤(アストニシメント牝系))と計6頭の東京優駿勝ち馬を輩出、
小岩井農場の産駒デビューが同じ年であったシアンモアとトップを争った(こちらは東京優駿3勝でカブトヤマ、フレーモア、ガヴァナー)

1944年高齢により種牡馬を引退
374頭の産駒を残し、当時の数字で産駒獲得賞金額150万円以上と、まさに名種牡馬であった
それから2年後戦後の混乱も抜けきらない1946年この世を去った
現在でも三里塚記念公園には死後建立されたトウルヌソルの碑がたっており、目黒競馬場跡地に近い元競馬場交差点の近くには小さな銅像が存在している

父系はクモハタからメイヂヒカリ・ハタカゼなどから繋がったが80年代には断絶、残っていない
しかし、クモハタ産駒で天皇賞を勝った牝馬クインナルビーが残した3頭の牝馬から牝系が広がり、
このうち、スターナルビーの子孫としてオグリキャップ、スズキナルビーの子孫としてキョウエイマーチがおり、
オグリキャップの母ホワイトナルビーの娘とその子供達を中心に今なお一定の勢力を保っている

名無しのトレーナー 2019/02/08(金) 12:20:40
似たような背景(戦前の名種牡馬かつ、何で日本に来たんだってくらいの良血)のガロンやクラックマンナンも是非お願いします。

名無しのトレーナー 2019/02/08(金) 19:49:04
レースの名前になってる馬名がちょこちょこ出てくるの楽しい

名無しのトレーナー 2019/02/09(土) 07:01:25
早朝の血統小咄、今回は海外に目を向けて

「時代の流れに逆らった種牡馬」
19世紀後半イギリスでIsonomyという名馬が産まれた
現役時代はイギリス長距離三冠を制し、種牡馬としてもCommon・Isinglassと2頭のイギリス三冠馬を出した(ちなみにIsinglassの孫がSwynfordである)
だが、当時は名種牡馬が多い時代、それらに阻まれリーディングサイアーを獲得することはなかった
そんなIsonomy産駒に5ハロンの競走を3勝、重賞には縁もなかったGallinuleという牡馬がいた
だが、この地味な馬が最後に2頭の三冠馬以上の大暴れをすることとなった

Gallinuleがもうすぐ20歳になろうかという1901年、1頭の牝馬がアイルランドで生まれた
美しい栗毛をしたその馬はオーナーブリーダーの生産者によってPretty Pollyと名付けられ、早くから素質の高さを見せた
そして、デビューしたPretty Pollyは勝つわ勝つわ、2歳の時点で後の二冠馬やダービーステークス2着馬をまったく寄せ付けず9戦9勝
3歳にはいともあっさりと牝馬三冠を達成、その後も牡馬を蹴散らしながら好成績を収め続け、
最終的に24戦22勝、連勝記録15(20世紀ヨーロッパ2位タイの記録、1位はリボーの16連勝)というとんでもない成績を収め、『天下無双のポリー』と呼ばれた

GallinuleはこのPretty Pollyの活躍もあり、1904、1905年の2回リーディングサイアーに輝き父が届かなかった栄冠を獲得した
さて当時のイギリスはセントサイモン系全盛期でありセントサイモン系種牡馬のリーディングが続いたいた時期
そんな中で非セントサイモン系であるこの馬のリーディングサイアー獲得はまさに時代の流れに逆らった偉業であった

その後1912年Gallinuleは亡くなったが、この馬の血はひっそりと日本競馬の根底に残っている
Gallinule晩年の産駒の1頭に1000ギニー勝ち馬Flairとの間に生まれたガロンという良血馬がいた
幼駆時代の事故により競走に出ることができなくなったこの馬を1912年日本の陸軍省馬政局が24000円で買い上げ、青森県の奥羽種馬牧場(七戸町にあった)で供用した
ガロンは初年度産駒から帝室御賞典勝ち馬チヨギクを出すと、その後は有力牝馬の種付けを集め、産駒は毎年のように大レースを勝ち、名種牡馬としての地位を固めた
最終的に1930年ガロンは急死したものの、その後も孫世代が重賞路線で活躍を続けるなど、大正末期から昭和初期にかけての日本競馬界で大きな存在であり続けた

父系は戦前には断絶してしまったものの、当時国内最高峰のレースの1つ優勝内国産馬連合競走などを制した牝馬フロラーカップが繁殖牝馬として成功した
そのフロラーカップの繁殖名がフロリスト…分かる人はここで分かるだろう、そうシラオキの曾祖母である
時代に流され脚光を浴びることがなくなっていったシラオキ牝系が90年代以降活躍馬を複数出しその健在をアピールしたのも、もしかしたら遠い祖の血がうずいたのかもしれない

名無しのトレーナー 2019/02/09(土) 08:45:57
ガロンの名前、聞いたことある程度だったけど、そうだったのか
今回も面白かった

名無しのトレーナー 2019/02/17(日) 19:11:08
ちょうどヒンドスタンの名前が出てきたので、血統小咄

「二冠馬を出した『おまけの馬』」
武田文吾「コダマはカミソリ、シンザンはナタの切れ味。ただしシンザンのナタは髭も剃れるナタである」
このようにシンザンとの比較に持ち出された馬、それが1960年の二冠馬コダマである
能力そのものは同時代の他の名馬達には劣るとされるが、競馬ブームの先駆けとなったとされるほどの高い人気を得た馬であった
コダマの母は後に大牝系を築いたシラオキであるが、父のブッフラー、こちらが今回の主題である

ブッフラーは父にフランスの名種牡馬Prince Chevalierを持ち、イギリスで1戦0勝で引退した馬であった
この馬が日本に種牡馬としてやってきたのにはちょっとした経緯があり、
海外の種牡馬を探していた日高軽種馬振興会が、アイルランドで種牡馬入りしたものの活躍馬の出ていなかった(=購入価格が下がる)ヒンドスタンに目を付け購入することにしたのだが、その際にヒンドスタンとセットで売却されたのがこの馬であった

当然馬産地でもその話は広がり、ヒンドスタンが日高の馬産家達に憧れの高嶺の花(シンジケートは当時の値段で30万×40株と超強気設定だった)として受け入れられたのに対し、
『ヒンドスタンのおまけ』扱い(ヒンドスタンのシンジケート価格からすると、この馬の価値は150万程度)のこの馬はそこまで注目されていたわけではなかった

なぜそんな馬がシラオキにつけられたかというと、それはシラオキの方の事情がありまして、
小岩井農場生まれというお嬢様なシラオキは引退後浦河の冨岡牧場で繁殖入りし1頭の牝馬を産んだものの、馬主と牧場が対立するとかいう不安定な状況におかれたせいかその後は不受胎・流産を繰り返し、3年にわたり仔を出さずと不遇な状況であった
最終的にシラオキを冨岡牧場の縁戚にあたる鎌田牧場に移すことで決着したものの、これまでの経緯もあり、きちんと受胎してくれるかという試験的な意味も含めブッフラーが選ばれたのではないかと推測はできるが、確証はない

何にせよ、初年度に二冠馬コダマ、重賞4勝馬ヘリオスを出したブッフラーは日本競馬界に大きな爪痕を残し『おまけ』という評価を覆したのであった
その後コダマが種牡馬としてうまくいかなかったこともあり、父系は栄えなかったが、
ヘリオスの産駒には『走る労働者』の異名で呼ばれた78戦6勝のサラ系で東京競馬場の誘導馬でもあったイナボレスがいる
(ちなみにイナボレスの母系はフランスから徳川将軍家に贈られたアングロアラブの牝馬高砂に遡れる歴史的血統だったりする)

名無しのトレーナー 2019/02/17(日) 19:41:28
お疲れ様です
相変わらず興味深い話

名無しのトレーナー 2019/02/17(日) 20:41:19
これは勉強になる。

名無しのトレーナー 2019/02/17(日) 21:03:55
いつも興味深い…
こういう話って本に纏まってないのかな? 読みたい

名無しのトレーナー 2019/02/17(日) 22:42:20
面白かったです
競馬関係のライターをされてる本職の方かと思ってしまうレベル


こんなタメになる小咄をタダで読めるなんて…ぐへへ…となりつつ「マジで本職の方なのでは?」と震えています。面白いお話ありがとう御座います。

「全て読む」でトレーナーさん方の小咄もSSも競馬情報も妄想も読めちゃうのいいなあ。あれをピッて押しただけで無限の可能性が開くみたいで最高なので設置した自分を褒めてあげたい。

ちなみにイラスト投稿掲示板はピッてしなくても既に無限の可能性が広がっているので最近急増傾向にあるうまぴょい末期患者さんはぜひイラスト投稿掲示板もチェック!ライスちゃんにお注射打ってもらいましょう グサッとね

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コメント

  1. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 07:44:57 返信

    よしよし、頑張ったね。カンリニンチャン。
    ヾ(・ω・。)

  2. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 07:57:21 返信

    こうして見ると、どんな名馬、大種牡馬でも、
    血統断絶に見舞われている辺り、
    現在まで血統が続いているのは奇跡のようなものなのだということを実感する
    いずれサンデーサイレンス系統もレアになるのだろうか…

    個人的にはステイヤーがもっと評価されるようになって欲しい
    (というか3000以上の長距離G1秋にもうひとつ欲しい)

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 08:18:06 返信

      ステイヤー=晩成のイメージが強いからなかなか評価は上がりにくいやろなぁ
      ほとんどのホースマンの最大目標はダービーであって、そこを勝つために仕上がりの早さが求められるのが種牡馬ビジネスの現状

  3. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 08:33:50 返信

    アニメニキがウマ娘関連の小咄やってもええんやで

  4. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 08:55:13 返信

    コレ纏められたん助かるわ、雑談は流れが早い時とか見逃してそうやしなぁ

  5. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 09:51:20 返信

    ゴルシで血統小咄はないかな?

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 14:18:35 返信

      母系は遡ると割と凄い血統に行きつくが、ここの一族は親父の個性に全てかき消される

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 22:42:29

        自分はゴルシ、母父マックイーンの系統が強いかなと思っている。
        マックイーンも古馬になってから少し頑固な気性になってたみたいだし。
        母系をさかのぼると星旗という牝馬に行き着く、実は古い血筋らしいね。

        今度の産駒の中にもお母さんが星旗に行き着くのがいて、なんかロマンを感じるな。

      • 名無しのトレーナー 2019/02/21(木) 04:11:54

        ウインクルミラクルの18かな、クモハタだから牝系ではないけど
        エアデヴォンの18、エスジーアンクルの18、クイーンギムレットの17…これらもまたすごい血統
        オルレアンノオトメの18はロイヤルサッシュのクロスとか
        すでにある小咄に出てくる種牡馬たちも出てくるから、血統見てるだけで一日を過ごせる

      • 04:11:54のトレーナー 2019/02/21(木) 05:43:00

        ゴールドミッションの牝系で行きつく先が星旗でした
        まだまだ見れてない産駒がいるものの、牝系がカタカナで辿れる馬は漢字の繁殖馬に行きつくことが多いので面白い(月〇、星〇、〇義等々)

  6. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 09:56:10 返信

    名馬の血統表をさかのぼるとたいてい居るムムタズマハルとかいう超絶牝馬
    そんな彼女はヘロド系

  7. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 10:36:13 返信

    血統が繋がりそうな時より、繋がらなさそうな時に嬉しそうな人か。血統に詳しい人ほどそうなるイメージある。
    合言葉は「馬産はボランティアじゃない」で、素人ファンがニシノデイジーで盛り上がってるとシュババババッて駆け寄ってきて「牝系はノーカン!牝系はノーカン!」って悔い改めさせられる怖い人達。ウマ娘のファンかは不明の模様。

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 11:05:42 返信

      牝馬ならまだしも、牡馬の場合牝系にマイナーな血が入っている事は珍しいわけではないし、多少はね?

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 11:22:58

        トウカイテイオーは皇帝の父系はよく言われるけど、
        母系だと戦前の悲劇の牝馬ヒサトモの血を引いている
        (現役引退して繁殖牝馬になっていたが、
        戦争で競走馬不足により現役復帰、
        無理なローテーションがたかって過労死のような死に方をする)
        テイオーがいなければヒサトモの血は途絶えていたと言われ、
        テイオーは日本競馬の光(ルドルフ)と影(ヒサトモ)を受け継いでいるとも言える

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 12:09:17

        血統で牝系云々言われるのは母の母の母の…で辿れる範囲で、他は母父、あればクロス位まで
        昔の名馬の名前奥の方に見つけて嬉しかったって話と、牝系ならそんな珍しい話でもないって話だからちょっと視点(視野?)がずれてるのね

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 11:16:39 返信

      「小咄ニキ」と「理のある意地悪ニキ」は別の人物ではないかなぁ

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 11:56:05

        小咄ニキってイコールでニュースニキでしょ?
        グランアレグリアがコケるのを期待してみたり割と意地悪ニキだよ。

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 20:06:07

        少なくとも小咄ニキと雑草滅ぶべし言ってる奴は別人でしょ
        小咄ニキは「どんなに栄えた血統もいずれは衰退する」という価値観を持ってて、かつ知識があるから「種牡馬として何が成功するかなんてわからん」とも思ってそうに見える
        たまに出てくる「馬産はボランティアじゃない」の人は「悪血は駆逐されるべき」とまで言ってたから確実に別人だろう

  8. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 16:27:37 返信

    こうしてみると競走馬って壮大な交配実験なんやな
    これ人間でも適用したらトンデモナイ超人が生まれるんだろか…?

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 17:45:12 返信

      昔の王族とか貴族とかって結果的なのか意図的なのか、近親での交配がある
      スペイン・ハプスブルク家みたいに最終的には超人どころか…みたいなことも

  9. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 18:14:31 返信

    じっくり読みたかったのでまとめ本当に助かります
    知識量がすごいし、この長さの文章を分かりやすくしっかりまとめて書けるってマジで本職の方だったりして…wそれか競馬歴の長い物書きさんとか。
    ゲームアプリの攻略まとめサイトなのに、こういうガチなコラムが読めるのもすごいな

    • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 18:24:16 返信

      正直アプリがお蔵入りになったり出ても不発に終わった場合でも、このサイトは続けて欲しい(管理人さんのモチベ維持が大変でしょうけど)と望んでます

      • 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 20:28:27

        競馬系のまとめサイトは殺伐としてるから、まったりしたここに入り浸ってしまう

  10. 名無しのトレーナー 2019/02/20(水) 20:46:26 返信

    テスコガビーの死後の話は衝撃だった
    金に困っての悪あがきで名馬を死なせた、で終わる話だと思っていた

    • 名無しのトレーナー 2019/02/21(木) 01:31:18 返信

      桜花賞大差勝ちで、テスコガビーがいるうちは金に困ることはないという皮算用だったのかねぇ…

    • 名無しのトレーナー 2019/02/21(木) 01:49:46 返信

      それ知りたい。掲示板を辿れば見れる?

      • 名無しのトレーナー 2019/02/21(木) 02:19:25

        自分も気になって検索したら今の雑談掲示板(パート5)の 2019/02/04(月) 19:53:36がそうでした
        PCからだけど6ページ程さかのぼったとこにありましたよ

      • 名無しのトレーナー 2019/02/24(日) 01:00:06

        ありがとう!

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