ジョッキーが使う鞭ってどんな意味があるの?
競馬ではレース中にジョッキーが鞭を使うことがありますが、実はこれにはきちんとした意味があるのです。
競馬の鞭について
鞭は競走騎乗では「長さ77センチ未満で、衝撃吸収素材を用いたパッドを装着したものでなければ使用できない」と定められています。
(2017年1月1日より、海外に合わせてJRA・地方競馬で使用する鞭がパット付きのものが義務付けられました)
JRAに合わせて地方競馬も来年からこのパットの鞭が義務付けられます。 pic.twitter.com/zYQk4faaR8
— 佐藤友則 (@tomojk) 2016年4月12日
鞭を使う効果
鞭というと力一杯打って、痛みによって馬の闘争心を引き出していると思っている人もいるかもしれませんが実はそれは誤解。鞭を使う理由は…
競走馬の調教では鞭で叩かれたら速く走る合図だと教え込まれているため、スパートをかけたいタイミングで合図として鞭を入れます。
馬の個性によって打ち方を変え、馬の力を最大限発揮出来るように、そしてなるべく馬のストレスにならないように配慮されています。
【2】左右のよれを矯正
馬はバテてくると走る時に左右にそれてしまいます。そうなると他の馬の進路妨害となり降着や失格、最悪の場合、衝突して事故が起こってしまうことに。
よれを矯正する時には基本的にはよれた側に鞭を入れるので、騎手は左右で鞭を操れるようにしないといけません。
鞭の入れ方
鞭の打ち方にも種類があります。基本的には馬のお尻に当たるようにしますが、馬にも個性があるため、上手い騎手はその馬の個性に合わせて鞭の使い方を変えているそうです。
肩鞭
お尻に鞭を入れられるのが嫌いな馬の場合、肩に軽く鞭を入れます。肩鞭では馬の視界に鞭が入るため、軽く叩くだけでも合図になります。
見せ鞭
鞭を入れると逆に走る気を失ってしまう馬に対しては「見せ鞭」と言って、馬の視界に鞭が入るようにして走る気を促します。また、「これから鞭を入れるよ」という合図として使われることもあります。
手鞭
レース中に騎手が鞭を落としてしまうこともあります。そんな時は手鞭と言って、手を使って馬体を叩き合図をします。中には鞭を持っていても合図として使う騎手もいるようです。
騎手は鞭を使い分けている
騎手は自分用の鞭をいくつも持っており、騎乗する馬によって使い分けているそうです。
・反応が鈍い馬…硬めの鞭
・鞭の音に反応する馬…ヒュンヒュンと音が鳴りやすい鞭
・肩鞭しか使わない馬…短い鞭
などなど。
ちなみに練習用の鞭でも1万円を下ることがまずなく、高いものだと数万円するものもあるんだとか。
後藤浩輝騎手によれば馬にもSとMがいるらしいです。叩かれるのが好きな馬は沢山叩くと速く走るのかと思いきや、気持ち良くなってスピードダウンしてしまうんだとか。
あとはお客さんに手を抜いていると思われないために鞭を馬の体に当たる寸前で寸止めして「鞭を入れるフリ」をすることもあるそうです。鞭って奥が深い…
風車鞭(だっけ?)とかいう禁止された打ち方もあったよね?